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「ぬらすと!」抗菌シート 開発ストーリー

使いたいときに抗菌性を発揮!
安心・無臭の抗菌シート

「ぬらすと!」抗菌シートは、使用する時に抗菌効果を発揮する新しいタイプの抗菌シートです。水にぬらしたり、水でぬれているところを拭いたりすることで抗菌します。アルカリ性のシートが微生物に攻撃するため、多様な菌の除去や増殖を防ぐ効果があります。
抗菌成分が食品添加物であることから、食品や食器に触れても心配ありません。化学薬品や臭いがストレスとなるユーザーや臭いが気になるシーンでの抗菌ワイパーとして、使用が期待されています。
 ※全ての菌やウイルスに対応するものではありません。
また、ぬらさずに食品の下に敷いたり包んだりしても、食品の水分がシートに浸透するため、食品の鮮度保持や変色防止に効果があります。現在、収穫時や輸送時の鮮度保持効果を持った緩衝材として各方面で検討されています。
 ※食品の種類や状態によって効果は異なります。

事例のポイント

  • 多様な微生物(菌・カビ・ウイルス)に対する抗菌効果
  • 食品接触用途OK
  • 臭わない非塩素系成分

王子グループ 機能材カンパニーが選ばれた理由

  • 抗菌成分は、ホタテ貝殻由来の食品添加物! 食品や食器に触れても安心です
  • 肌への安全試験を実施済み
  • 王子キノクロスの独自技術(TDS:Totally Dry System) で、「ぬらすと!」抗菌効果を発揮させます
  • 臭わない非塩素系で薬品臭が苦手な方にもお勧めです
  • 使い捨てで、使用後ゴミ箱に入れると消臭機能を発揮します(2度おいしい)(SEKマーク繊維製品認証基準で定める方法を準用して確認済み)

お客様の課題・開発の背景について

開発の背景

テーブルやキッチン、小さい子供のおもちゃ、介護施設などで、「除菌したいけど、薬品のにおいがするものは、お口に入ったら・・・と不安。でも、水拭きだけだと菌が残っているのでは・・・とやっぱり不安。」という悩みをよく耳にします。
そこで、臭いもなく、食品添加物として使用されている抗菌成分で抗菌シート(ワイパー)を作りました。食品や食器に触れても安心なのに、多様な微生物(細菌・カビ・ウイルス)に効果を発揮します。
今回使用した抗菌成分は、天然のホタテ貝殻由来の食品添加物です。 本来、廃棄されてしまう貝殻を再利用している点でも好評を得ています。
また、このシート(ワイパー)は、ドライのまま食品と一緒に置いておくと鮮度が長持ちすることが分かっており、フードロス対策になるのではないかと期待されております。
※食品の種類や状態によって効果は異なります。

開発中に苦労したことについて

ホタテ貝殻由来の粉体の取り扱いから多くの安全性試験まで

パルプ、合成繊維に焼成ホタテ貝殻粉体を配合してシート化

最初に、ホタテ貝殻由来の粉末状の抗菌剤と出会ったのは、耐水性の高い抗菌剤を探しているときでした。そのため、水溶性で耐水性が無いホタテ貝殻由来の抗菌剤は、検討の候補には挙がりませんでした。
ただ水と接触するとアルカリになり、様々な菌やウイルスに効果があるというユニークな特性は、非常に印象的でした。さらに、抗菌剤としては珍しく食品添加物として認められている点にも大変驚きました。
人間も菌も“生き物“ですので、「人には優しく、抗菌する」というのは、相反する不可能な要求に思えました。
もし、この抗菌剤を使ってシートができれば、嫌な臭いのない、取り扱いが簡単な抗菌シートができ、食卓やキッチン回り、赤ちゃんのおもちゃ等の除菌ワイパー用途としても喜ばれるのではないかと考えました。
しかしながらホタテ貝殻粉末は、効果を発揮させるためには、粉体のままシートに配合する必要があり、水に溶かして塗布したり、ディップしたりすると抗菌性能のある製品にならず、シート化が難しいとされてきました。

いちごの下に敷いて鮮度長持ち

そこで、王子キノクロス の独自技術の1つであるTDS(Totally Dry System:名前の通り、水を使用せずにシートを製造する方法)でシート化に挑戦することにしました。
私にとっては、この技術を使ってシートを製造するのは初めてでしたので、検討開始直後は、テスト機での慣れない 粉体の扱い(粉体タンクの掃除など)に四苦八苦することもあり、製造現場のメンバーに教えてもらいながらのスタートとなりました。
検討が進み、本機(製造マシン)での試作の段階では、ワイパーとして使いやすい厚さにするにはどうすればよいか、柔軟な風合いするにはどうすればよいか等、製造現場のメンバーと一緒に悩みながら試作を重ね、「ぬらすと!」抗菌シートの完成に至りました 。

製造に目処がつき、ようやく製品化するというところで、思いがけない課題が浮上したのです。
当初、抗菌成分が食品添加物のため、“安全性が高い”という意識でした。しかしながら、他の側面からみると、「細菌やカビ、ウイルスにこれだけ効果があるのに、本当に安心して使えるのか?人にも大きなダメージがあるのでは?」「アルカリ性でも強アルカリだと肌にとって危険じゃないの?」という疑問に明確に答えられるエビデンスがありませんでした。必ずしも“食べられる=“安全”ではないということなのです。身近なところでは、山芋は食べられるけれども、皮膚につくと肌がかゆくなったりすることが思い出されます。

リトマス試験紙が赤⇒青

そこで、「ぬらすと!」抗菌シートの肌に対する安全性について、様々な方面から検証していきました。
使い捨てのシートであるものの、シートをぬらして皮膚に貼付する皮膚パッチ試験を行ってより厳しく確認(一般的な条件の24時間だけでなく48時間でも確認)したり、敏感肌皮膚パッチやスティンギング試験のような化粧品関係の試験も実施したりしました。
さらに、繰り返し使用を想定して感作性の試験も実施しました。また、強アルカリが肌へどのように影響するか、実際に同僚の協力を得て、シートをぬらした時の搾り液(強アルカリ)を自分たちの肌につけ、肌pHの変化を確認しました。このように様々な安全性試験を経て、肌に対しても問題がないことが確認でき、やっと製品化することができました。

開発の成果について

ホタテ貝殻由来成分なので安心

実験方法)準備:生肉を洗い出して菌を採取。プラスティック板へ滴下、広げて風乾。

抗菌や除菌へのニーズが高まる一方で、「化学薬品は使用したくない。」、「臭いが苦痛。」というお客様の声を聴きます。
特に、子育て世代では、「おもちゃを舐めるので除菌したい」というニーズがある一方、「除菌した後すぐ舐めても大丈夫だろうか?」という不安から、気軽に除菌できないと思われているのではないでしょうか。
そこで、除菌できるのに食品添加物にも認定されているホタテ貝殻の焼成物を抗菌成分としてシートに配合しました。
このシートは、ぬれていないので、乾いてしまう心配もなく、抗菌成分もほとんど失われません。また、軽量なので気軽に持ち運びできます。除菌したいタイミングに合わせて「ぬらすと!」(水分を付与すると)、除菌ワイパーに変身します。使い捨ての不織布なので、シートに拭き取られた菌も一緒に廃棄でき、2次汚染の心配がほとんどありません。
抗菌成分には、ホタテ貝殻由来のものを使用。拭いた後、万が一舐めてしまっても、シートの抗菌成分は食品添加物なので安心です。
また、使用後は、そのままゴミ箱に捨てると、シートのもつ消臭性能が発揮され、ゴミ箱のにおいを緩和する効果もあります。

今後の展開ついて

食品の下に敷いたり包んだりで鮮度保持!

「ぬらすと!」抗菌シートは、ぬらさなくても!抗菌性能を発揮することが分かってきました。
食品の下に敷くと食品の持つ水分で抗菌作用を発揮し、鮮度が長持ちします。
お餅と一緒に袋に入れて保管したり、マッシュルーム、いちごなどの下に敷いたりして効果を確認しています。
また、王子キノクロスの不織布は、吸水性が良いため、食品から出るドリップを吸収する効果もあります。
更に、厚さや風合いを検討することで、緩衝材+鮮度保持の2つの機能を持ったシート等も検討中です。

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