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王子イメージングメディア株式会社 神崎工場研究技術部 樋口技師

小売・サービス・アミューズメント業界向け開発ストーリー

感熱紙のイメージを一新 
安定した鮮やかな画像を
印刷するために

株式会社ファースト 様

アミューズメント・制作・企画

感熱紙と言えば、レジロールや電車の切符に使われるもの・といった印象かもしれません。でも鮮やかなカラー印刷もできるのです。いくつかの難課題を解決して黄・赤の二色感熱システムにたどり着きました。グループ内の連携で小型のプリンターも一緒にご提供、私たちが思いもよらなかったお客様にお使いいただくこととなりました。

事例のポイント

  • 他社にない鮮やかな黄色の実現
  • カラー印刷に必須の色安定性を担保する製造技術
  • お客様から学んだ、新しい用途

王子グループ 機能材カンパニーが選ばれた理由

  • 手軽に持ち運べる小型プリンター
  • 鮮やかな二色カラーがアミューズメント用途にぴったり
  • 長く保存しても色が消えないからクーポン出力もOK

開発中に苦労したことについて

染料のマイクロボール化、配合比の調整による発色安定、全ての技術の組み合わせで人間の視覚精度を満足させます

混合すると無彩色になる色を『補色』と呼びます

1990年代にインクジェットプリンター、オフィスのコピー機、あらゆる印刷機器がフルカラー化に向かいました。この時期に感熱システムも同じ方向を目指して複数色の出力について可能性を探り始め、2000年代には磁気乗車券、POS、海外でのバゲージタグ等、文字印刷中心ですが、赤黒2色の感熱紙が市場に出回り始め、次はフルカラー!という期待が高まってきました。

しかし画像を2色並べて印刷した時に初めて遭遇する課題があったのです。
感熱紙に使う、ロイコ染料という染料は、インクジェットプリンターに使われているような染料や顔料とは少し違っています。通常の状態ではほぼ無色ですが、熱や光、pH等に対してロイコ色素が反応することで呈色する機構を持っています。ロイコ色素の構造に含まれるラクトン環が開環して2重結合を生じ複数のベンゼン環がつながって長波長の光を吸収して発色するという仕組みです。感熱紙に使われるロイコ染料の場合は、印刷される際に感熱ヘッドの熱で溶けたロイコ染料と顕色剤とが混じり合うことで発色し、顕色剤がラクトン環の再形成を阻害することで安定した発色状態を維持するものです。
こういった特殊な特性を持った染料は一般的な染料に比べて種類が少なく、カラー出力を目指すにあたって選択の幅が非常に狭いという最初のハードルがありました。特に黄色を鮮やかに発色させることのできるロイコ染料は非常に少なく、また一旦発色した色を安定して維持することも難点の1つでした。
これらの課題を解決するために、独自の顕色剤の開発や、『マイクロボール』という技術を独自に生み出し、感熱紙マーケットの可能性を広げました。これら技術の組み合わせによって、新しい色彩の多色感熱記録紙を開発することに成功しました。

しかし、いざ印字テストが始まると新たな課題が明らかになりました。
染料のロットや紙の製造ロットが変わると色が違って見えることに気がついたのです。もちろん、赤が緑に見える、とか青が赤に見える、というほど極端な違いではありません。この赤は前のロットに比べて青みがかっているな、とか黄色っぽい赤になったな、というレベルですが、人間の目は精度が高いので違和感を覚えてしまいます。色の違いはΔE、つまりCIELAB空間での座標である(L*,a*,b*)の距離であらわされますが、この値が1を超えると人間の目は検知できると言われており、二色並ぶと更にその違和感が発生しやすくなってしまいます。材料ロット間の色調バラツキの範囲だけでも、ロット毎の色の変動が起こりやすかったのです。製紙会社はこれまでの長い歴史のほとんどを印刷業界とともに歩んできました。その中で色彩に関する知見も蓄積されていたため色認知の仕組み、すなわち補色のメカニズムに頼ることにしました。つまり、赤みかかる場合は緑色で打ち消す、青みかかる場合は黄色で打ち消す、というわけです。
作成ロット毎にその色の値(L*a*b*)を測定し、狙った色の値になるように2種類の配合比を計算して使用することで、例えば、“赤みの強さ”と“緑みの強さ”をお互いに打ち消しあい、製造ロットが変わっても印字する際は一定の色の値を維持できるようにしました。この色の値は白熱灯光(A光源)、昼間の太陽光(D65光源)、蛍光灯光(F2光源)等波長の異なる照明の下で一定に保持できており、その正確さは銀塩写真に匹敵するほどなのです。

開発の成果について

材料からプリンターアプリケーションまで!まさか王子グループがプリンターまでご提供するとは思われませんでしたよね?

まさか王子グループがプリンターまでご提供するとは思われませんでしたよね?

既存の材料を組み合わせるだけでなく、材料そのものの製造技術と、それを使う際の配合比の調整という感熱紙の製造技術が一緒になって、我々の色味の安定した2色感熱印刷が可能になりました。研究から製造・販売までが1つのグループ内にあることでお客様の元で起こり得る課題に対する抜本的対策が打てたのだと思います。
更に社内の営業部門と技術部門との間で人事交流が活発に行われているから、そういった点にも気が付きやすいと自負しています。
また、王子グループ機能材カンパニーの中には計測器の製造・販売を行っている王子計測機器という会社がありますが、この会社の協力を得て専用のプリンターもご提供開始することができました。紙とプリンター、アプリケーションソフトを一緒にご提供することで、お客様のご要望に合わせた様々なカスタマイズが可能になっています。

今後の展開ついて

コンパクトなプリンターなのに目に鮮やかな明度・彩度の高い発色。アプリケーションもカスタマイズ可能だから使い方はお客様次第!まずはご相談ください

このような使い方、思いつきませんでした。ありがとうございます!

黄色と赤という2色の感熱紙を最初に販売しようと思ったのは、店頭用のPOPでした。特売の時に黄色地に赤文字で印刷されたラベルやタグが使われますから、これまで感熱紙や感熱ラベルを使っていただいていたお客様にお使いいただけると考えました。今は装飾用としても使えると思っています。ヒントは中華街でもらいました。旧正月になると横浜中華街は金色と赤のツートーンに染まりますが、これは旧正月を祝うアジアの各国でも同じだそうです。ベトナム、シンガポール、タイ、そしてもちろん中国、台湾。今後は海外も視野に入れて展開していきたいと思います。

しかし、このどちらでもないアミューズメントの用途で引合をいただいたのには驚いています。金・赤の2色で福引の当たり券を出力されるのだそうですが、感熱プリンターは小型で持ち運びが簡単ですから頻繁に置き場所を変える必要がある催事にも向いているようです。アプリケーションソフトをカスタマイズできることも良かったようですし、我々が気付いていなかった使い方を教えていただきました。
また、黄色を背景色にすると高齢者にもコントラストが検知されやすいという視覚に関する研究結果が複数報告されており、4人に1人が65歳以上という高齢化社会において生活を快適にするお手伝いもできるのではないかと考えています。

お客様プロフィール

企業名
株式会社ファースト
所在地
東京都中央区銀座7-17-14松岡銀七ビル5F
設立
1963年6月
従業員数
200名
事業内容
マーケティング全般の企画・実施、商業施設・都市環境の開発
ホームページURL
http://www.the-first.co.jp/

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