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通信販売・物流・包装材料業界向け開発ストーリー

再配達削減、脱プラスチック化、
包材在庫省スペース化へ貢献する
ALL紙製緩衝封筒

事例のポイント

  • ネット通販に対応した省包装、脱プラのALL紙製緩衝封筒を開発しました。
  • 宅配BOXや郵便受けなどで荷受け可能な梱包をご提案し、宅配再配達削減に貢献します。
  • 気泡緩衝材(プラスチック)を使用しなくても、緩衝性能は同等以上のレベルを達成しています。

ネット通販における課題と開発背景

再配達にかかるエネルギー、労力、時間の損失低減と脱プラスチック化を推進します!

ネット通販の伸びは凄まじい状況にあります。配達量の増加と共に顕在化したのが再配達問題です。再配達が配送量の20%を占めるため、トラックドライバーの労働負荷の増加が問題化しており、再配達のための時間とエネルギーロス低減が求められています。

更に近年、地球温暖化対策に加え、プラスチックによる海洋汚染、マイクロプラスチック問題も浮上し、脱プラスチック化から、石油化学製品を使用しない環境配慮製品への代替の動きが活発になってきています。


そこで、緩衝性能を維持しながらプラスチック材料を紙材料へ代替し、宅配BOXや郵便受けなどで荷受け可能な再配達を不要とする梱包材開発の実現に向け、「ALL紙製緩衝封筒」の開発を行うこととしました。

開発中に苦労したこと

緩衝性発現のメカニズム解明、対応する原紙の選定、どのようにして作るかを検討し解決しました!

図:緩衝材の落下試験値(加速度値Gが小さいほど耐衝撃性に優れる)

気泡緩衝材(プラスチック)は、良好な緩衝性能を有する素材として広く認知され普及していますが、これに代わる紙素材使用の緩衝素材は、費用対効果の面から最適なものはありませんでした。

王子コンテナー株式会社 技術開発部の協力を得ながら、既存の緩衝用気泡プラスチック使用包材を用い、実際の宅配輸送時にかかる落下衝撃値を逐次測定し、その結果をもとに、王子独自の包材落下試験条件を設定し、各種緩衝材の特性を再検証しました。その中で、紙に多数の小さなスリットを入れ、拡幅することでできるセル構造を持つクッションペーパーが、各種緩衝材の中で、緩衝性と耐衝撃性に優れるということが分かりました。

しかしながら、このクッションペーパーを内装して作る封筒の連続構造は、既存の封筒製造機では製造できないこと、クッションペーパーの封筒への封入にはクッションペーパーの巻取が必要なこと、クッションペーパーの拡幅にも新たな製造機械の開発が必要なことなど、解決しなくてはならない問題が多々あり、紙製緩衝封筒の開発は暗礁に乗り上げました。

そこで、発想を転換し、封筒を使用する人が封筒に中身を入れるときにクッションペーパーが拡幅するようにして、ハンモックのように商品を包み込む構造検討を進めました。均一にクッションペーパーを拡幅できるようにするスリット構造の研究をし、また、王子マテリア株式会社とそれに最適な用紙選定の検討を重ね、緩衝性と耐衝撃性だけでなく、落下時の衝撃力を減衰しながら吸収する特性を付与することに成功しました。
この発想の封筒製造については、協力会社の封筒デザインの検討と、製造機械の最適化から、複雑な製造工程を必要としない効率的な紙製緩衝封筒製造を確立しました。

今後の展開

ALL紙製の「紙ネット封筒」の存在と便利さを知ってもらうために、あらゆる機会を使って皆様にご紹介して参ります!

封筒に内装したクッションペーパーが中身を封入するときネット(網)のように拡幅して商品を包み込み、緩衝性、耐衝撃性、衝撃吸収性を付与するので、商品名を「紙ネット封筒」とし、ネット通販に対応した省包装、脱プラのALL紙製緩衝封筒として販売を開始致しました。

●宅配BOXや郵便受けなどに入る荷受け可能な梱包を可能にし、宅配再配達削減に貢献します。
●緩衝用気泡プラスチック材料を使用しなくても、緩衝性能は同等以上のレベルを達成しています。
●封筒を使用する際の封入作業でクッションペーパーが立ち上がりクッション材となるので、使用前の封筒の状態では嵩張りません。このため、包装材料の在庫スペースを小さくできるというメリットもあります。

今後、再配達削減での省エネ、過重労働低減、プラスチック素材の使用量低減での省資源、環境配慮の一助となるように、この「紙ネット封筒」を拡販して参ります。



<引用文献>
浅山良行 日本包装学会 第27回年次大会発表会(2018)


※下記サイトにて、紙ネット封筒の使用方法を動画でご確認いただけます。

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